「上京生活録イチジョウ」最終話の感想を綴っていきたいと思います
連載終了は寂しいですが、おかげさまでここ2年間、隔週木曜日を楽しみに一番楽しい時間を過ごすことができました!
「カイジ」という作品を生み出してくれた福本先生、スピンオフ原作者の萩原天晴先生、作画の三好智樹先生、瀬戸義明先生、長い間連載お疲れ様でした!また、素敵な作品を読ませて頂きありがとうございます!
この記事はまだ途中です
今後、追記予定!
最終話「再起」ネタバレ感想
物語は一気に破戒録後に進みました
これで「帝愛下積録イチジョウ」「地下脱出録イチジョウ」の線は消えましたね…寂しい…
「イチジョウ」最終話なのに主人公一条が1コマも登場しないという…
かろうじて村上の瞳にシルエットが映ってるくらい
帝愛を退社したニヒルな雰囲気の村上
最終話は終始、独特な雰囲気でした
ヒゲがあってもなくても、かつての村上でないことが分かるのがすごい
破戒録の後の村上だということがパッと見で分かる
なんでだろう、表情筋が死んでて表情の変化が乏しいからかな?
服装が垢抜けてるから…?
話し方や立ち振る舞い方がもう、破戒録の村上なんだよなぁ
村上の感受性が鈍化してる
最初のページから村上、感受性や思考が鈍化してるんですよね 「オレ達でのし上がろう!」と約束していた尊敬する一条は失脚、村上も職を失っている状態なので無理もありません
帝愛を辞めた後、足が赴くままに大山に訪れておそらく無意識的に入店したであろうジョイクルー、食べ物を胃に押し込んでから「そういえば美沢さんや山田くん達は…どうしてるんだろう…」という思考に至る村上
ここの「連絡してみるか」というウニフラから
村上も帝愛入社後に一切、2人と連絡を取ってなかったということが分かります
ジョイクルーに入店した時点では2人について思考が巡らず、食べ物を咀嚼することで一時的に脳が活性化して2人のことを思い出したような描写
また、さくらハウスの元自分の部屋の前まで行くのはあるとしても、脳死でチャイムを押しちゃう村上
モデルになる予定の現住民を困らせる始末
かつての人畜無害フェイスでなく、負け犬の愚痴を肴に一杯やるマンと化した村上(しかもそこそこ大きい)がイキナリピンポンしてきて「家譲ってくれや^^」と言ってきたら本当に怖いと思う
スピンオフ村上は破戒録村上へ変わってしまったんだなと思った点
スピンオフ時代の村上は喜怒哀楽が激しくて、表情がコロコロ変わるのが魅力的な青年でした
4巻表紙が一番分かりやすいと思います
かつての人畜無害な青年は何処へ…
最終話では、スピンオフ時代と比べて表情は乏しめです
現住民に部屋を譲るよう交渉する村上がポケットから5~6万円渡そうとするシーンを見て「これは帝愛に染まったな」と思いました
かつて貧困を極めていた時代はサバ缶や豆苗で飢えを凌いでました 当時の彼にとっては5万円は大金です
しかし、今の村上にとっては5万円なんてはした金だと思うし、裏カジノで働いていたからこそ、お金を渡せば大抵の人間は言うことを聞くという常人とは違う発想になっているなと思いました
この帝愛思考は軌道修正するの難しそうですね
かつて生活していた部屋で1人、何を思う
村上が何もない畳の上で寝転がってるシーンは第46話での一条と同じ構図となってますね
一条の顔つきは決意に満ち溢れており、トーンがないのでわりと明るめな未来が待ってそうな描写
一方、最終話の村上が寝そべっているシーンでは扉も締まっており、寂し気な雰囲気
第46話のこのシーンの続きから推測するに、一条がこの部屋に帰ってくるというのが分かる描写になってて漫画の描き方として綺麗だなと思いました ここのシーンはセリフがないので、村上が何を思っているかは読者の想像に任せるスタイル
うん、ここのシーンにセリフはなくて良い
余談
感動シーンに水を差す感想で大変申し訳ないけど、呼び鈴も押さずに入室してくる一条やばくない??と思って面白くて感動より先に笑ってしまった
脳死で呼び鈴押しちゃう村上もやばいけど、さくらハウスに到着するなり、現住民がいるかもしれないのにも関わらず静かにドアを開ける一条はもっとやばい
ただ、一条には村上がこの部屋で待っているという確固たる自信があったからこそ、ドアを開けたんだと思います
何度か読んでそう思いました
2人が再開するまでに流れた時間
モデルから部屋を譲り受けた村上は殺風景な部屋で一条を待ち続けます
枯れ木から桜が咲く描写から、季節は秋か冬?から春へ移り変わっていることが分かります
これは数か月後なのか、数年越しであるのか時間経過はよく分かりませんが、とにかく村上は一条が地下から生還して、さくらハウスに戻ってくるという確固たる信頼から一条を待ち続けました
けっこう時間が経っているけど、生活感のない部屋に一人、取り残された村上は哀愁が漂っていて寂し気な雰囲気です
村上が再び一条と出会う手段はさくらハウスしかないのか?
前提として村上は部下であり、友人なので携帯の連絡先は知っているハズです
ただ、一条は人一倍プライドが高く、特に後輩である村上の前で恥を晒したくないタイプだと思うんですよね
かつ、自分が村上を帝愛に入社させてしまった以上、村上に合わせる顔がないと思っていそうです
また、地下で携帯の保有など許されていなさそうだし、携帯が解約されてしまえば連絡ツールがなくなってしまうため、地下から生還した一条が村上に連絡する手段はなさそう
ただ、わりと長い期間(少なくとも年単位)地下にもぐっている中で、きっと村上への申し訳ない気持ちでいっぱいだったんじゃないかなと思います
完全に推測ですが、一条はここで村上に出会えなければ「やっぱりそううまくはいかないか」と村上と連絡を取ることを諦めてしまう気がします
運命に引き寄せられるように、かつて暮らしていたさくらハウスの一室を強引に勝ち取った村上
地下から生還し、原点に戻るためかさくらハウスに訪れた一条
2人が再開して言葉を交わすシーンはないけど、おそらく2人とも感情のダムが崩壊して号泣するんじゃないかな
よしっ!この流れで「村上コーヒー」営んじゃおうぜ!
もう少し読みたかった点
連載終了がわりと急だったので、以下の点に触れてほしかった…
山田くん、美沢くんにもっと触れてほしかった
一条が2人と仲良くなったきっかけは終電を逃したこと
一条は山田くん、美沢くんと共に徒歩で大山方面まで戻ることになりました 山田くんが「スタンドバイミーみたいだね」と言うようにノスタルジックな夜でした
一条の瞳を通して
「山田くん、意外と頼り甲斐があるキャラクターなんだな」
「美沢くん、夢があって良いゴリラだな」
とスピンオフキャラクターである2人の人物像が徐々に分かっていく丁寧な描写が好きでした
その輪に村上も加わることとなり、4人で海に行って、海辺でアイスを食べる青春回は美沢くんの強引さが功を成してて、美沢くんの面倒見の良さが強く描かれていた回でした
スピンオフキャラクターである2人のエピソードはけっこう丁寧に描かれていて、一条が2人に心を開く度に、読者も2人のことが好きになっていく描き方が印象的でした
今までそんな2人のことを丁寧に描いてくれたスピンオフだからこそ、2人に触れることなく最終話を迎えた点に関しては少し残念な気持ちです
ただ、2人が「帝愛入社」を決めた時点で、表の世界で生きていく彼らと交わらないということは分かります
一条は相当な覚悟を持って帝愛入社を決めていますし、村上も同じく連絡を長らく取っていませんでした
目まぐるしく忙しい日々で徐々に「今」が日常になり、4人で過ごした日々の記憶はどんどん薄まっていくことでしょう
ただ、ただ…もっと色んなところに遊びに行く4人が見たかった 班長とはまた違った若者たちのくだらないノリが好きでした
でも、2人を生み出してくれてありがとう!!最高!!!!
47話の引きの後にせめて1クッション欲しかった
前回、あの一条が村上に頭を下げて「ついてきて欲しい」と言いました
前回の記事で触れていますが、一条はこのセリフが口に出るまでに1ヶ月という期間を要しています
己の弱さを断ち切るために友と別れ、並々ならぬ覚悟をもって帝愛に入社しています
カイジの破戒録編を読めば、下積時代やカイジに敗れるシーンまでは補完できます
ただ、「ついてきて欲しい」と村上にお願いして、18ページで良いので入社後~勝負前くらいまでは描いて欲しかった
「オレ達」でのしあがる2人の過程が一部でもよいので見たかったなぁという気持ちがあります
あと…村上、帝愛辞めないで欲しかった
一条店長失脚の後、一条がいつ戻ってきても良いように帝愛でそれなりのポジションに上り詰めて欲しかったなという思いがありましたが、スピンオフの村上は一条についていくためにブラック企業「帝愛」入社を決めているため、まぁ目標がなくなれば当然やめるか… という複雑な思いです
ただ、村上はニートでないと、あの部屋で一条のことを待ち続けることはできませんから、そう思うと辞めて(辞めさせられて)正解だったなとも思います
2人でいずれ「村上コーヒー」の経営資金を貯めてくれれば…
モモ太は?????
流石にハムスターの寿命的に生きてはないというのは分かってるけど、モモ太に触れて欲しかった…!
「上京生活録イチジョウ」が読者に与えた希望
しかし、何度も最終話を読んで、とても幸福感に満たされた気持ちになりました
一条が地下から生還したこと
この事実が公式から発表されただけでも嬉しすぎた
知略に長けた悪党である一条は、地下にいながら7億の負債を返済し、生きて地上に生還することができました
「カイジ」本編を読んだ際に、一条はどれくらいで地下から生還するのだろうとよく考えていたのですが、三十路あたりで地上生還を果たしていそうなラストだったので、「彼は人生の大半を地下で過ごすことがなかったんだ」と明るい気持ちになりました
「ハンチョウ」作画をされている上原さんが下記のようなツイートをしておりました
一条は痛い目を見た方が反省奮起する人間だと『イチジョウ』で描かれていたのでカイジ沼編での失敗も逆にめちゃくちゃ成長するチャンスなのでは‥‥?悪事を働いたことに対する罰の意味でも「地下1050年」は一条にとっては必要な試練なのかもとか、いろいろ思いました。
— 上原求『ハンチョウ』14巻10/6発売 (@uehara_bem) January 12, 2023
「確かに一条って反省奮起する人間だよな」とこのツイートを拝見して感じました
他者より優秀でいたい気持ちが強いというか、自分と他者の立ち位置をとても気にするタイプだと思います 負けず嫌いなところもそこに起因していますよね
一条は根に持つ男なので、いつかカイジを倒すために入念に準備をしてからカイジの前に立ちはだかるであろうし、
帝愛を辞めた今、兵藤会長にこびへつらう意味などないため、諸悪の根源である兵藤会長にも勝負を挑んで欲しいなと強く思いました
なので、「他者を見返してやる」という負の感情が原動力となり、大きく成長できる彼だからこそ、今後は村上と2人で逆境さえチャンスに変えて大きく羽ばたいて欲しいなと感じました
いや、マジで地下から生還できて良かったね…一条…
村上も信じて待ってて良かったね…
連載を振り返って
2021年1月に「上京生活録イチジョウ」が連載開始し、約2年とても楽しい時間を過ごすことができました
最終話に際して、批判的な感想を書いてしまった部分もありますが、「上京生活録イチジョウ」という作品に出会えることができて良かったです
自分がカイジにハマったのは2020年9月頃でした
漫画読み放題で「カイジ賭博黙示録」を一気読みしたら転がり落ちるようにカイジを始めとする福本作品にドハマりしてしまいました 一条は作品随一のイケメン扱いされているのに、「顔が気に食わない」という理由で書道会長にいじめられたり、(顔というよりかは性格の問題のような気がしますがら)かつての高校の同級生に疎まれていたりとまったく顔で得しない不遇なポジションが好きでした
また、顔が良い割に陰湿で、日常的に盗聴するし、血のマニキュアに愉悦を感じる等、むちゃくちゃ悪趣味です それなのに、「王になってシェルターに入りたい」という謎の純粋さを兼ね備えていたり、知略に長けた天才かつ努力家だけど、負けず嫌いで己の力を過信するあまり最終的に地下行きになる等非常にブレててアンバランスなキャラクター感に惹かれたのかもしれません
カイジにハマってから「24億編」まで読み進め、原作でもう一条が登場することはないだろうなと思い、全盛期の時にハマりたかったなと思っているところに、
理外の舞台化、吉祥寺コラボ、そしてまさかの「上京生活録イチジョウ」の連載決定の流れは驚きました
連載が始まってから、モーニング発売日の木曜日が大好きになりました
また、連載当初から密かに毎話感想を書いており、何人の方から感想の感想を頂いた時は連載の喜びを分かち合えて嬉しかったです 中には海外の方も感想の感想を送ってくださり、「カイジは国境を超えて人気なのかっ…!」ととても嬉しく思いました
吉祥寺サンロードと福本作品がコラボした際は何度も吉祥寺に足を運びました
フォロワーさんとカイジのパチンコを打ったり、
舞台のDVD鑑賞会を行う等、インターネットという垣根を超えて色んな人と楽しい時間を共有することができました
何故かリアルではカイジ好きな人にまったく出会えないけど…!
まとめ
連載終了は寂しいですが、おかげさまでここ2年間、隔週木曜日を楽しみに一番楽しい時間を過ごすことができました!
「カイジ」という作品を生み出してくれた福本先生、スピンオフ原作者の萩原天晴先生、作画の三好智樹先生、瀬戸義明先生、長い間連載お疲れ様でした!また、素敵な作品を読ませて頂きありがとうございます!
単行本、発売されましたね!
ちなみに単行本を買うと一条の誕生日が発覚するので大変おすすめです!是非、買って下さい!
是非、紙版を買ってカバー下を見た方が良いですよ…
カイジ「Re:バース」も発売中
カイジとReバースが理外のコラボ…
面白かったのでひとまずAmazonで購入しました
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1月12日14時59分までDMMブックスで50%還元やってるので実質半額で買えてオススメです
AIに一条の記事を書いてもらいました
ぽんが趣味で描いてるエッセイ漫画です!